ゲーム音楽を作り続けて30年近く。私、佐野電磁がお子さんに自信をもってオススメするのが、Nintendo Switchを使った作曲です。ご存知のようにNintendo Switchは、大変人気のあるゲーム機ですが、一方で高性能なコンピューターでもあります。つまりコンピューターでの作曲は、お子さんの可能性を広げるのです。
オススメの作曲ソフト「KORG Gadget for Nintendo Switch」
さて、コンピューターで作曲するには、どのような方法があるでしょうか? いろいろな方法があると思いますが、私が一番オススメするのは「KORG Gadget(コルグ ガジェット)for Nintendo Switch」という音楽制作用ソフトを使った方法です。Switch用のソフトですが、ゲームではなくあくまでも作曲ツールです。
コルグは、世界的に有名な電子楽器メーカーで、プロも愛用する楽器を数多くリリースしており、その技術力がこのKORG Gadget for Nintendo Switchにも十二分に注ぎ込まれています。
作曲方法はものすごくカンタン
このような話をすると、なにか難しいソフトのように思えますが、これで音楽を作っていく過程は極めてカンタンです。まず下の画像のように、マス目に四角を置いていきます。
すると、黄色いタテ線が繰り返し左から右へ動いていて、その線が四角を通るとき音が鳴ります。上のほうのマス目に音を置くと高い音が鳴り、下のほうのマス目に音を置くと低い音が鳴ります。基本的にはこれだけです。楽器ができなくても楽譜が読めなくても、まったく問題ありません。
とはいえ、最初は音楽とは思えない音が鳴ると思います。なので少し変えてみましょう。すると少しよくなります。そこでもう少し変えてみましょう。もう少しよくなります。これを繰り返していくと、曲が完成します。
そんなバカな、と思われるかもしれませんが本当です。授業以外で音楽を学んだこともなく、なんの楽器もできない、まったく楽譜も読めない私が、このやり方で30年近くゲーム音楽を作り続けられました。
なぜでしょう?それはコンピューターがあるからです。
コンピューターなら、試行錯誤を繰り返すことができます。人に演奏を頼むわけではないので、気兼ねなく、徹底的に試せます。ちょっとした思いつきや、偶然生まれたものも、保存してしまえば自分のもの。気に入った部分はいくつでもコピーして活用できます。さらに何度でも何度でも間違えずに演奏してくれます。なんて素晴らしいことでしょう。
コンピューターでの作曲は自由自在
またコンピューターでの作曲は、楽器も好きなものにどんどん変えられます。ピアノで鳴っていた音をギターに、ギターで鳴っていた音をフルートに、フルートで鳴っていた音をタイコに(……かなり独創的な曲になりそう!)。音そのものをゼロから作り出すこともできます。
シンセサイザーという楽器を知っている人もいると思いますが、まさにあれがコンピューターの中に入っています。
そして、作曲には正解がありません。作ったフレーズ、選んだ楽器、そして鳴っている自分の曲をあくまでも自分の感性で判断し、試行錯誤しながら制作を続けていきます。
最終的に自分が納得できる曲ができたときの喜びと、その曲を他の人に聞かせて喜ばれたときの快感といったら! 他のなににも変えられません。
KORG Gadget for Nintendo Switchが子どもの教育に役立つのか
この一連の経験は、正解のないものを根気よく一人で作り上げ、喜び、かつ他人が感動するものに仕上げる力を養います。これはまさに、お子さんがこれから社会で活躍する時代に、より必要とされる「AIやロボットに代替されない能力」で、確実に将来の可能性を広げていきます。
もちろん作曲でなくても、コンピューターで試行錯誤してなにかを作るということでも、このような力をつけることができます。ただいわゆるプログラミング教育では、コンピューター上で絵を動かしたり、ロボットを動かしたりということが多く、残念ながらそれらに興味をもてない子どももいるでしょう。
でもそれは、コンピューターが嫌いなのではなく、コンピューターを動かした出力結果にピンとこないだけです。そのようなお子さんでも、音楽という出力結果には強く惹かれる可能性もあります。実際に、プログラミング教育がまったくピンとこなかった子どもが、KORG Gadget for Nintendo Switchのワークショップで作曲に没頭する姿も多く見られました。
そして、作曲を通してコンピューターに親しむことで、別の分野でコンピューターを活用してみよう、という気持ちも芽生えてきます。
それでは、なぜ一般的なPCやタブレット、スマートフォンではなく、ゲーム機であるNintendo Switchでの作曲がいいのでしょうか。自分がこのKORG Gadget for Nintendo Switchを開発したから、ということももちろんありますが、もっと大きな理由があります。これについては、また次回お話しします。