バリ島のグリーンスクールはなぜ世界一エコな学校になれたのか。その徹底したこだわりとは?【世界を旅しながらその土地の教室に飛び込んでみた】

私は世界中20カ国50校以上の学校を訪れてきましたが、「環境教育」という観点で振り返ったとき、ダントツでいちばん優れていると感じた学校は、アメリカでもヨーロッパでもオセアニアでもなく、東南アジアにありました。

  • インドネシアのバリ島にある「グリーンスクール」は環境に優しい学校
  • ミッションは持続的な世界をつくる学習者のコミュニティーをつくること
  • 建築士と一緒に自分たちで橋をつくった
  • ニュージーランド、南アフリカでも開校予定

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インドネシアのバリ島にある「グリーンスクール」

テレビやインターネットなど、なにかとメディアに出てくることが多い学校なので聞いたことがある人もいるかもしれません。私がはじめてグリーンスクールを知ったのは、5年前にとあるブログを読んだことがきっかけでした。いてもたってもいられなくなって、その日にバリ島行きのチケットを購入、その翌週に実際にグリーンスクールを訪れていました。

当時の経験に最新の情報も加えて、世界一エコな学校と言われるグリーンスクールのレポートをお届けします。

持続的な世界をつくる学習者のコミュニティーをつくること

グリーンスクールの公式ホームページに掲載されているミッションは以下のとおりです。

* “A community of learners making our world sustainable”
(持続的な世界をつくる学習者のコミュニティー)

グリーンスクールの歴史は、宝石商のビジネスで大成功したジョン・ハーディ氏が、「不都合な真実」という環境問題に密着したドキュメンタリー映画を観たことからはじまりました。このまま問題が進行すれば、子どもたちは自分が送ったような素晴らしい生活を送ることはできない。そんな問題意識から、持続可能な世界をつくるリーダーたちを育てる学校、グリーンスクールを立ち上げたのです。

彼の思いは、TEDでも紹介されているので、彼の生の声も聞いてみてください。

ジョン・ハーディ:私の夢、「緑の学校」

www.ted.com

コンクリートで囲まれた校舎で環境について学んでどうする

教室の中もほとんどが竹や木などでつくるこだわりよう

ジョン・ハーディ氏は、理念を実行に移すこだわりを徹底しています。既存の学校のすべての常識を無視した「理念から逆算した学校設計」が特徴。そのこだわりは、まず校舎づくりからはじまります。

「コンクリートで囲まれた校舎で、環境について学んでどうするんだ!」

そんな彼の思いから、校舎は極限まで鉄やコンクリートを使わず、ほとんどが竹や木などでつくられています。傘立てまで竹製という徹底したこだわりっぷりでした。校内には畑があり、自分たちがつくった野菜がカフェテリアで出されたりするとのこと。

年中を通して最低気温が25度程度と、温暖な気候のバリ島。しかし教室にはエアコンはありません。扇風機もない。そもそも教室に壁がありません。雨はしっかりとしのぎつつも、風をきちんと通せるよう、計算され尽くしたデザインになっています。

コースは幼稚園から高校まであり、現地の生徒だけでなく世界中のさまざまな国から子どもたちが学びにきています。

建築士と一緒に自分たちで橋をつくる

生徒が建築士と一緒につくった橋

実際にグリーンスクールに通う日本人の生徒に質問しました。日本に比べると、授業は座学の時間が少なく、自然の中での実践的な授業が多いそうです。しかし、座学や理論を軽視しているわけではなく。カーンアカデミーというオンラインでの授業受講ができる無料サービスをうまく使いつつ、宿題として自宅で座学を受けることもあるそうです。

たとえば中学生のカリキュラムを一部紹介すると、日本と同じように数学や科学、音楽などの授業もありますが、特徴的な科目もいくつかあり、最たるものは「Green Study」という科目。自然の中で野菜を育てたり竹細工をしたり、さまざまな取り組みをします。

インタビュー中でもっとも驚いた取り組みは、「建築士と一緒に自分たちで橋をつくる」という授業でした。授業で学んだ数学や物理の考えを使いつつ、木や竹でつくられた橋が上の写真。実際に使われていたことに驚きでした。グリーンスクールの公式ホームページで一般公開されているので、興味のある人は見てみてください。(*英語のみ)

https://www.greenschool.org/wp-content/uploads/2019/10/Green-School-Middle-School-Curriculum-Overview-2019-2020.pdf

ニュージーランド、南アフリカでも開校予定

2008年にバリ島で開校したグリーンスクール。4年前に訪れたころから他国展開を検討しているという話は聞いていましたが、ついにバリ島の他の学校も開校が決まりつつあります。現状の予定では2020年にニュージーランド、2021年には南アフリカでも開校するとのこと。

南アフリカのキャンパスは、ケープタウン付近のPaarl-Franschhoek Valleyの近くに位置します。やはり選定基準は美しい自然に囲まれた場所。どんどんと世界中に広がるグリーンスクールの今後の展開から目が離せません。開校したらまた行ってレポートしますので楽しみにしていてください。

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