アメリカでは学校の図書館からSTEAM教育が広がっている?!【(先生ではなく)図書館員がSTEAMを学校に導入】

学校へのSTEAM教育の導入というと、どうしても学校の先生に目が行きがちですが、実は米国では、先生よりも学校の図書室にいる図書館員が導入するケースが多いのです。

米国の学校図書館員とSTEAM教育の関係

アメリカ労働統計局(Bureau of Labor Statistics)によると、全米には約126800人の図書館員がおり、littleBitsの本社があるニューヨークには、12360人の図書館員がいるそうです。

2018年の全米図書館週間(National Library Week)では、ウッズデール小学校(ウェストバージニア州ホイーリング)の図書館メディアスペシャリストTIS(Technical Information Systemsの略で、図書館におけるIT部門のスペシャリスト)であるサンドラ・ワイズマン(Sandra Wiseman)が紹介されました。サンドラは、littleBits Droid Inventor Kit(スターウォーズに出てくるR2-D2とlittleBitsモジュールをつないで、さまざまなアクションが実行できるキット)を使って、「Marion the Librarian」という図書館お助けロボットを作りました。

Marion the Librarian

www.youtube.com

とは言え、サンドラはSTEAMの発明やプログラムを学校図書館にもち込んでいる多くの図書館員のうちのひとりにしかすぎません。実際、STEAMを学校や地区に導入しているのは主に図書館員です。その事実に多くの人は驚くかもしれません。

21世紀のメイカーズムーブメントにおける学校図書館の役割

2018年、littleBits教育チームはSchool Library Journal(米国の学校図書館向け雑誌)と協力して、学校図書館の変化(画一的な閲覧室からイノベーションの中心となるための変化)に関する調査をしました。

調査結果によって、メイカーズムーブメントやSTEAM教育の一環として提供されるプログラムの種類や、これらのプログラムを利用する際に図書館員が直面する課題、そしてこれらをすべての生徒にとって効果的で魅力的なものにする最適な方法について、掘り下げることができました。

STEAM教育を広めるには、学校や地域でSTEAMの動向に関心をもつ図書館員が、きちんと活動できるようにすることが非常に重要です。そのための方法はさまざまあると思いますが、今回の調査でわかったことは、これらの活動にもっとも影響を与えるのは以下の3つと思われます。

  • 図書館員やメディアスペシャリストに専門能力開発リソースを提供し、彼らが学校における革新を主導できるようにすること。
  • 教師と図書館員がより頻繁に対話できるようにスタッフミーティングや学校のスケジュールを調整し、メイカーアクティビティとカリキュラムをうまく統合し、図書館の活動を超えた活動を拡大できるようにすること。
  • 学校図書館の設計を再考し、STEMとメイカーツールの統合、生徒間のコラボレーション、およびコミュニティにおける知識を共有すること。

全調査結果はこちらからダウンロードできます。また補足として、以下のような洞察があります。実はすでにいくつかの図書館内にはメイカースペースがあり、信じられないかもしれませんが、現在米国とカナダの学校図書館の半数以上(約55%)が生徒にメイカープログラムを提供、中学校の図書館では61%がプログラムを提供しているのです。

メイカースペースは図書館で人気が高まっています。半数以上(57%)の学校図書館員が、(図書館員が提供するプログラムへの)参加者数が前年より増加したと報告しています。図書館員はSTEAMプログラムを広める媒介と言えます。そして、調査に参加した図書館員の全員が、学校のメイカーアクティビティに参加しており、まだ参加していない図書館員も、今後は参加したいと考えていました。

図書館を通じて学校や地域にSTEAMを導入するために熱心に働いているすべての図書館員のみなさん、これからも頑張ってください!私たちはあなたを見守っています。そして、ぜひお手伝いをさせてください。

by Allie VanNest

この記事が気に入ったら「いいね!」をクリック!プログラミング教育・STEM教育などの情報をお届けします!