テスラコイルって知ってますか? 名前くらいは聞いたことがある、という人もいるかもしれませんね。テスラコイルは電球を開発した”トーマス・エジソン”のライバル”ニコラ・テスラ”によって開発された装置で、非常に高い電圧を発生させることができます。その高電圧によって、テスラコイルからは雷のような、目に見える稲妻が現れます。今回はテスラコイルの製作過程と、実際の動画をお見せしましょう。
上の写真のように人体に高電圧をかけることによって、手から放電することもできます。どうです? 魔法使いみたいでしょ?
【注意】
ちなみに、私は普段テスラコイルやレーザーなど見ためが派手な装置を使った実演や、電子機器・ソフトウェアの設計製作をしていますが、テスラコイルは稲妻を発生させるくらいの高電圧を扱うため、適切な知識と道具なしには製作できません。また、操作にも細心の注意が必要です。誤った操作は重大な事故が発生する可能性があります。もし、テスラコイルに興味をもったら実演などはできますので、こちらまでご連絡ください。
高エネルギー技術研究室
どうして稲妻が現れるの?テスラコイルの仕組み
これが一般的なテスラコイルの回路図です。コンセントからの電源は、変圧器(T)によって高い電圧に変換。一次コンデンサー(C1)に電荷が溜まっていくと、回路の電圧が上がり、スパークギャップ(SG)で放電が起こります。そのときに、一次コンデンサー(C1)と一次コイル(L1)が共振を起こします。
一次側(C1,L1)につられて二次側(C2,L2)も共振するので、巻き数が多い二次コイル(L2)からは高い電圧を取り出せるのです。
どうやって作るの?テスラコイルの作り方
筆者が2007年ごろ、製作したテスラコイルを紹介しましょう。
[1] ネオントランスの調達
ネオントランスは、回路図で変圧器(T)に当たる部品。お店の看板などに付いているネオンサインを光らせるときに使われる変圧器のことで、コンセントのAC100Vから、15000Vもの電圧に変換します。これをテスラコイルの電源として使います。電話帳で看板屋を探し、ネオントランスを売ってくれるところを探しました。
ネオントランスをコンセントにつないで通電すると、以下のように数cmの放電ができます。実験中は感電には注意して作業しています。
[2] 二次コイルの製作
二次コイル(L2)に当たる部品として、VU100の塩ビパイプに、0.5mmのUEW(エナメル線)を巻き付けていきます。ゴムキャスターで作った”巻き機”を使ってパイプを回転させています。
巻き終わったコイルは、すぐにニスを塗って解けないようにします。適当なウレタンニスを使います。
[3] 一次コンデンサーの製作
回路図では、一次コンデンサー(C1)に当たる部品で、電源にネオントランスを使っているため、最低でも15000V耐圧のコンデンサーが必要です。このような高電圧に耐えるコンデンサーは入手が困難なため、入手が容易な1000V程度の耐圧のコンデンサーを大量に接続して、15000V耐圧のコンデンサーを作ります。
コンデンサーは直列に接続すると、耐電圧が上がり容量が減るため、直並列に接続することで高耐圧、大容量のコンデンサーを作れます。
24×20個で、合計480個のコンデンサーを接続しました。
[4] スパークギャップの製作
回路図では、スパークギャップ(SG)に当たる部品。ネジを向かい合わせて、その間隔を調整します。焦げ跡がついているのは、放電で焼けてしまうからです。
[5] 一次コイルの製作
回路図では、一次コイル(L1)に当たる部品です。
通販で入手した”なまし銅管”。エアコンの配管などに使われる銅管で、柔らかく手で曲げることができます。これを巻いて一次コイルとします。
[6] 仮組み
仮組みして実験します。まだ一次コイルは適当に置いただけ。放電が出るか、確認していきます。
[7] 完成
土台を製作して、各種部品を固定しました。
一次コイルはインシュロックで固定。高電圧がかかるため、近くに金属製のものを配置しないほうがいいです。
これが全体像です。
テスラコイルで放電してみた
テスラコイルの放電の様子を動画で紹介しましょう。
これが製作したテスラコイルの放電です。放電は50cmといったところ。強烈な電磁波によって蛍光灯も光っているのがわかるでしょうか?
次回はテスラコイルを制御して音楽を演奏してみます。
テスラコイルを実際に見てみよう
名古屋市科学館にはテスラコイルを展示してある「放電ラボ」があります。また、筆者は「Maker Faire Tokyo」というイベントに定期的にテスラコイルを出展しています。実際に見てみたい!という人は、ぜひ足を運んでみてください。
名古屋市科学館
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