“教育ITソリューションEXPO”に行ってみた(前編):STEMとか言われましても。—プログラミング教育・漫画レポート—

こんにちは。京都在住も4年目、イラストレーター+漫画家のしばざきとしえです。「思春期っ子はみんなバカ!」(ぶんか社)など、子育てをテーマにしたコミックエッセイ著書が何冊かあります。ここでは母親の立場から見た「プログラミング教育ってなに?」という素朴な疑問をテーマに、漫画レポートを描いていきます。

プログラム教育なんて知らんし

Mac歴18年、普段アドビシステムズのPhotoshopでイラストを描いているせいか、友人・知人からは”パソコンに詳しい人”と思われがちのようです。が、私はもともとキカイ音痴でして、自分が使っているソフト以外のことはほとんどなにもわかっておりません……。

そんなある日のこと……

……と返事に困り帰宅。

調べてみると、プログラミング教育では“小学生にコードを書かせるわけではない“ということだけは、わかりました。そして、プログラミング教室など学びの場では女の子も積極的に参加しているらしい、ということも。

しかし、具体的にどういうふうに教わるものなの? 全然実感が湧かない……そんな人(私のような)にとって最適なイベント「教育ITソリューションEXPO」が、関西でも開催されることを発見。「教育ITソリューションEXPO」とは、ICT化する教育分野に向けた日本で最大の展示会です。タブレットPCからプロジェクター、電子黒板まで、教育機器が大集結。ここに行けばきっと、プログラミング教材の最先端に出会えるはず

やってきました「関西教育ITソリューションEXPO」

ソニービジネスソリューション「MESH」

ソニービジネスソリューションの「MESH」というプログラミングキット。なんだかカラフルでスタイリッシュ!

ソニーのMESH

センサーやスイッチなど、種類は7つで、1パーツ5,980円から(写真では、GPIOというパーツがちょっとズレておりますが)。無料の「MESHアプリ」をダウンロードし、ドラッグ&ドロップの簡単操作でプログラミング。これらのカラフルな電子ブロックたちはワイヤレスでつながるので、自分の身のまわりにあるものと組み合わせて、さまざまな問題を解決できる!とのこと

アプリ上で各ブロックのアイコンをつなぎ合わせると、“AをするとBが起こる仕組み”がつくれるわけですよね。この作業により「既存のものの仕組みを論理的に理解できるようになる」のだそうです。

すでにワークショップという形で「MESH」を授業に取り入れている小・中学校も多いそうですが、その際は、

  1. テーマを決める
  2. センサーやプログラミングの機能に触れて、手を動かす、考える、試す
  3. グループで取り組む、共有する

を、手順とするとか。この中の“グループで取り組む”はかなり大事なことのようです。子どもたち同士で話し合い、遊びながら“ロジックを鍛える”のが狙い。

MESHは企業の研修に使われることもよくある、と聞きました。プログラミングキットによるプログラミング作業がグループディスカッションのきっかけになり、チーム活動が活性化する(!)のだそうです。子どもだけでなく、大人にも効果があるんですね

学研エデュケーショナル+アーテック「もののしくみ研究室」

続いて出会ったのは「自動ドア」型ロボット。

学研+アーテックの自動ドアロボット

学研エデュケーショナル+アーテック「もののしくみ研究室」の、プログラミング学習ロボットです。こちらは個人での購入は不可。日本全国に「もののしくみ研究室」を開講している教室があるようです。

ものの仕組みに焦点を当てているのが特徴です。自動ドア、洗浄機付きトイレ、踏切など、身のまわりのものがテーマ。ものの成り立ちやその形になった理由なども、合わせて学ぶそうです。カリキュラムの導入は、自動ドアからなのだと聞きました。私たちは普段“プログラミングのおかげで自動ドアを通れた”とは、認識していないですね……。身近なものだけに、子どもたちが関心をもちやすいそうです

プログラミングソフトは「Scratch(スクラッチ)」をベースに、アーテックがオリジナルカスタマイズしたもの。こちらもブロックをマウスで動かせばプログラミングが組める、簡単操作とのこと。ロボットの動作は「ドアが開いたが、すぐ閉まってしまった」など、細かくフローチャートにまとめてみるそうです。ここでエラーに気づき、プログラミングやロボットの組み立てを見直し、問題解決する作業がとても大事で、しかも楽しいのだとか。ものの仕組みを研究する、試行錯誤してつくってみる。子どもたちの「創造性を育む」を目標としているそうです。

日本ビジネスデータープロセシングセンター「NDC-HN01」

こんな教材もありました。日本ビジネスデータープロセシングセンターの「NDC-HN01」です。

NDC-HN01ロボット

「2017年度ひょうごNO.1ものづくり大賞」で選考委員特別賞を受賞した本格的なロボット。大学工学部・高等専門学校・工業高校など、ロボット技術者育成のための教材で、お値段は税抜き43万円。

こちらは“小学生のプログラミング授業”からはちょっと遠い、専門家を目指す人のための教材なんだな…と思って気が緩み、ブースの担当者さんに「NDC-HN01…ネーミングが長すぎるような気がしますねー」などと余計なことを言ってしまいました。すみません。

なんとなく楽しそうな気が

どのブースからも“子どもたちにプログラミングを教える”という喜びや熱意が感じられました。学生時代、黒板に向かうだけの授業が嫌で仕方がなかったのですが、プログラミング学習はそういう退屈さとは無縁のようです。さまざまな教材を使い、グループで話し合う、頭も身体も使う、そんなプログラミング学習に「新しい時代の風」のようなものを感じました

「“教育ITソリューションEXPO”に行ってみた」は後編に続きます。