STEAM教育ではとても重要なサイエンスミュージアム。アメリカのシリコンバレーにある「エイムズ研究センター」は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の一角にある研究施設。NASAの先端技術拠点の一つでもあります。
NACA(国家航空諮問委員会)の研究施設として開設
シリコンバレーの一角にはNASA(アメリカ航空宇宙局)のエイムズ研究センター(Ames Research Center)があります。エイムズ研究センターは、元々アメリカ空軍の基地であったモフェットフィールドに、1939年(昭和14年)にNASAの前身であるNACA(国家航空諮問委員会)の研究施設として開設されました。
当初はプロペラ機の航空力学に関する風洞研究を目的としており、世界最大の風洞(風洞は現在アメリカ空軍のアーノルド技術開発センターに移管)や、見学することは出来ませんが滑走路もあります。
エイムズでは、惑星探査を目的とした「パイオニア」(1965/昭和40-1978/昭和53年)、月探査を目的とした「ルナ・プロセペークター」(1998/平成10-1999/平成11年)といった探査計画に関わることが多いようで、中止はされましたが原子力推進ロケットにより探査をする「オリオン計画」(1958/昭和33-1963/昭和38年)の立案も行っています。
アメリカ政府施設なので入り口は厳重
研究所ではありますが、一部施設は見学できるようになっています。アメリカ政府施設ということもあり、入り口のゲートでは当然のように、銃器を装備した守衛に写真入り身分証明書(パスポートなど)を提示する必要があるものの、帰りに通った際には「楽しめた?」と気さくに声をかけてくれるような感じなので、臆することはありません。
まっすぐ進むように指示されるので、素直に従って奥まで歩いていきます。
所内は空軍基地だったころの建物が多く、新しいものはさほど多くありません。右手に見える建物前の看板には大学名が入っているものがいくつかあり、大学とNASAの共同研究施設が入っています。
現在エイムズでは、宇宙開発に関連するAI(人工知能)について研究分野として取り扱っているそうで、新しい分野では大学との連携が重要になるのは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)と変わりません。
飛行船用の格納庫「ハンガー・ワン」
奥まで行くと、巨大な骨組みに突き当たります。あまりにも巨大で、手持ちでパノラマ撮影したので写真が歪んでしまっていますが、カマボコ型をしたハンガー・ワン(Hangar 1)と呼ばれる飛行船用の格納庫です。1933年(昭和8年)に建設されもので、今は骨組みだけになっていますが、高さ約61メートル、床面積32000平方メートルもあります。
現代では、飛行船を見ることはあまりありませんが、第一次世界大戦(1914/大正3年-1918/大正7年)ころから1937年(昭和12年)のヒンデンブルグ号の爆発事故で乗り物としての信頼が失われるまでは、軍用、旅客用として利用されていました。
ちなみに2014年(平成26年)11月に、Google社はNASAとロボット研究の為にハンガー・ワンを賃借する契約を結んだそうですが、2019年(平成31年)3月に見学した時点では骨組みだけの状態だったので、進んでいないようです。
空軍基地だったころの歴史的展示物がある「モフェットフィールド博物館」
突き当たったハンガーワンの手前で右に曲がり、NASAの実験飛行機や、風洞用モデルが並んでいるのを眺めながら「モフェットフィールド博物館」に進みます。ここは主に空軍基地だったころの歴史展示を中心にしており、パイロット訓練装置や模型などが並びます。宇宙関連のものはほとんどないのですが、マーキュリー・ジェミニ・アポロ計画に参加した宇宙飛行士ウォルター・シラーとジェミニ・アポロ計画に参加し、映画にもなった「アポロ13号」で機長をつとめた、ジム・ラヴェルのサインがあります。
NASAギフトショップ
来た道を戻って門を出ると、駐車場スペースの一角に、NASAのギフトショップ(おみやげ物店)があります。おみやげがほとんどを占めていますが、数点ほど実物展示がありますので、ここまで来たら忘れずに寄りたいところです。
宇宙開発競争の要「マーキュリー計画」
1957年(昭和32年)にソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)が、人工衛星スプートニク1号を打ち上げたことで、アメリカとの間で宇宙開発競争が始まり、翌1958年(昭和33年)にNACAはNASAに改組されました。その競争の中、NASAがいち早く人間を宇宙に送ることを目指したのが「マーキュリー計画」で、1958年から1963年(昭和38年)に実施されました。
ここには無人飛行試験に使われた、宇宙船2番機が展示されています。ちなみに有人宇宙飛行競争も1961年(昭和36年)4月にガガーリンを宇宙に送ったソ連が勝利し、翌5月にアメリカもようやく成功するという結果に終わっています。
月の砂の研究に使われた「グローブボックス」
アポロ計画で月から持ち帰った「月の砂(レゴリス)」の研究では、地球の空気に触れないように密閉できる「グローブボックス」が使われました。ここには、実際に使われた実物が触れる状態で置かれています。中身はお土産用の人形でいっぱいですので(笑)、”本物”に気兼ねなく触りましょう。
エイムズ研究センターを主たる目的に行くには、あまり展示は多くありませんが、ギフトショップではNASA土産を選び放題ですので、サンフランシスコ・シリコンバレーエリアに訪問する機会があれば足を運んでみてください。
基本情報
- 名称:モフェットフィールド博物館 (Moffett Field Museum)
- 住所:アメリカ合衆国カリフォルニア州モフェットフィールド (Moffett Field, CA 94035-0016, USA)
- 公式サイト:https://www.moffettfieldmuseum.org/
- 開館時間:水曜-土曜(10:00-15:00)
- 見学目安時間:30分
- 入館料:大人$8.00(約900円)-小人$3.00(約350円)
- オーディオガイド:なし
- 名称:NASAシリコンバレーギフトショップ(NASA Gift Shop in Silicon Valley)
- 住所:アメリカ合衆国カリフォルニア州モフェット通り (Moffett Blvd, Mountain View, CA 94043)
- 公式サイト:https://www.nasa.gov/ames/visit
- 開館時間:月曜-金曜(10:00-18:00)
- 見学目安時間:20分
- 入館料:無料(みやげ物店)
- オーディオガイド:なし
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